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いまさら聞けない勉強室&ワード集



除草剤とは


【農薬の中の除草剤】

 除草剤は、農薬の一種です。その名の通り、「雑草」を枯らしたり、発芽させないようにしてしまう薬剤のことです。
 日本のような温帯多雨の気候では、農業は雑草との戦いになります。古くから、除草作業が日本の農業労働を厳しいものにしてきました。
 雑草が土地をやせさせ、収穫を減らすため、雑草をできる限りなくすという努力が続き、ついには、田畑に雑草があることを罪悪と思うような風潮すらありました。
 そのため、除草剤の登場は、まさに大歓迎されました。
 腰をかがめ、炎天下に1日中草をむしっていた日々を少しでも減らせるのです。人間のすなおな気持ちとして、そんな苦しさからの解放は夢のようなことでした。
 あっという間に普及した除草剤は、世界一面積当たりの農薬使用量が多い日本で、ちょっと古いデータですが、1990年には205万ヘクタールの水田に対して、107,400トン、1反当たり約5.2kg使われています。

【除草剤の恐さ】

 農作業に福音をもたらしたかに見える除草剤ですが、一方で悲惨な出来事を生みました。
 農薬事故の約70%は、除草剤によるものです。現在では使用・製造が禁止されていますが、パラコートと聞けば多くの方が、様々な事件や事故を思い浮かべられるのではないでしょうか。パラコートも除草剤です。
 もうひとつ、除草剤にまつわることとして、95年より製造・販売されなくなったCNP(MO)があります。CNPについては、新潟地方で胆のうガンというガンの発生が他の地域より高いことから、ある学者が疫学調査をしたところ、CNPが原因になっている可能性が大であるという結果がでました。
 このCNPに対して、多くの市民団体が農水省や厚生省、環境庁に、使用許可の見直しを要請してきましたが、結局、メーカーの自主的な規制という形で、事実上、製造中止となったものです。
 また、このCNPは、最近になって環境ホルモン(内分泌かく乱物質)であるという指摘が出されています。
 他の除草剤についても、様々な問題が指摘されています。
 このような生産者の事故、人体への影響だけではなく、除草剤は環境へも大きな影響を与えます。土壌を劣化させ、川から海までの水を汚染し、すべての生物に影響を与えます。

【除草剤に変わるいくつかの方法】

「除草剤を使うな」というのは簡単でも、実行するのはとても大変です。有機農業や自然農法などに取り組んできた生産者も、除草剤を使わないと決めたのはよいものの、除草ではずいぶん悩んできました。
 中には、発想を転換して、除草をしないという方法を選んだ生産者もいます。
 しかし、多くの生産者が、除草のために大変な労力をかけています。特に水田は苦労しています。
 有機農業生産者にとっても、除草は頭の痛い問題です。それでも、畑の場合には様々な方法が開発されています。
 水田稲作でも、すでに、これまでに、全国の有機農業生産者が、アイガモ、ドジョウ、コイ、カブトエビ、ジャンボタニシなど、動物を使った除草方法を編み出しています。また、不耕起栽培やモミガラ、微生物などを使った草を減らす方法も編み出されています。
 さまざまな除草機械を開発して、炎天下、黙々と除草機を押す生産者もいます。
 いずれも、一長一短があり、地域性があります。

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