ちれぢれ草「旅編1」 2002.3.21
池田久子

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〜〜〜〜  ちれぢれ草 〜〜〜〜 11巻  「旅編」 2002.3.21
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「 ちれぢれ草」は、チリ共和国に青年海外協力隊の村落開発普及員として
赴任しているわたくしが、日本から17000キロ離れた任国チリを少しでも知
っていただきたく、日々雑感を徒然なるままに綴ってお送りさせて頂きます。
ご不要の方はお手数ですがご連絡ください。   送信者:池田久子
 
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そちらはお彼岸も過ぎ、卒業とか職場の異動とか何かと慌しい年度末を
お過ごしのことと思います。こちらチリは仕事や学校の年度は1月から12月、
そして1,2月はほとんどバカシオン(バケーション:休暇)の時期になり、職場
でも2週間とか4週間とか休んでしまう人も多く、休暇ムードで海や山や南部へ
大移動になってしまいます。
冷たいフンボルト海流のせいで海水浴というのは北部の一部でしかできない
のに、2月に同僚らと海に行ったときは水着で、水に入りもしないのにダラダラ
と海岸で寝そべっていました。でも海からの風は冷たく、爽やかというよりは
結構寒かったですね。

さて、そんなバカシオンの時期に、私も8日間休みをいただき2月の末に約10日
間南へ旅してきました。チリは北から南まで約4000キロ。北に砂漠地帯、中央は
豊かな農業地帯、南は雨が多く夏でも気温が低いパタゴニア地域があります。
昨年7月にチリに着いて1ヶ月、北の年間降水量がほとんどないアントファガスタ
で語学研修を受けていたためその期間中に高度4000メートルの高地の間欠泉
とか砂漠の中の町、世界有数の素堀のチュキカマタ銅山などには同期の皆で
行きました。南の旅は12月から2月がベストシーズン。今回は同期隊員の女の子
たち計4人での楽しい旅となりました。

飛行機で首都サンチアゴの空港から約4時間、夏からいきなり冬へ、カラカラ乾
燥地帯から雨がちのだだっぴろい草原が広がる世界へ移動です。チリ最南端の
プンタアレーナスの町並みは19世紀に羊毛の輸出企業を起こした移民の影響
を受け、落ち着いたヨーロッパの街角と言った趣でした。
 マゼラン海峡をながめながらバスでプエルトナタレスまで約4時間。ここはパイネ
国立公園などの玄関口にあたり、世界中からこのパタゴニア地域を旅する老若
男女が集まってきていました。他の隊員から聞いた安宿1泊3000ペソ(約500円
これが相場ですが、私にとっては3000円の感覚)に落ち着きました。翌日は1人
15000ペソで車を貸切、あいにくの雨模様で寒かったけど、洞窟、大滝、氷河など
をまわり、最後には念願のトーレ・デル・パイネという有名な3つの山を雲の切れ目
からなんとか見られ4人とも感動し「来年はトレッキングしたい!」
パイネ国立公園はひたすら大自然。グアナコというラクダ科の動物やニャンドゥ
(アメリカダチョウ)などがすぐ間近で見られ、ひたすら、ひたすら、飽きるほどの
大自然・・・なのでした。

3日目は氷河ツアーに参加。朝の8時半に出航し船のなかから雄大な景色を
眺めつつ、乗務員さんたちが民謡を演奏し、チレの伝統舞踊のクエッカを乗船客
が踊りだしたり、国歌斉唱、たまたま持っていた国旗掲揚まで冗談で始めちゃった
りして賑やか。昼過ぎには下船して湖の傍らの林を歩いて氷河の傍へ。この雄大
な景色がカメラに収めきれないのが悔しいくらい壮大なのです。帰りは船のなか
で氷河の氷を浮かべたお酒に舌鼓。35000ペソとちょっと贅沢なツアーでしたが、
天気もかなり回復し優雅な大満足の一日でした。

4日目はプンタアレーナスに移動し夕方からペンギンの生息地へのツアーに参加。
4000ペソ。なんといっても草原の中をぴょこぴょこと、ぶかっこうに歩くペンギン
は、これまた絶叫ものの可愛さで、いつまで見ていても飽きず、デジカメで30枚ほど
も写真をとり後から足りなくなってしまったほど。時間を忘れるほど可愛いのです。

さて、翌日は漁業の町プエルトモンへ飛行機で移動。本当は船でチャイテンと
いう秘境に行く予定でした、悪天候のため出航未定とのことで、さんざん悩んだ末、
断念。周辺の旅に計画を変え、夜は漁港近くのレストランで海産物をしこたま食
べました。
6日目は大型バスで40人くらいで移動する1日ツアーに参加。感心したのは時間
に正確!というのも男性添乗員さんが時間に遅れた乗客には強制的に、おしり
フリフリの踊りを手拍子に併せて踊らせるので、みんな恥ずかしいからきっちり
時間には帰ってくる始末。エライ! 湖で船から自然を満喫したり、教会、滝、
国立公園などをまわったり、11時から7時半くらいまで内容盛りだくさんで、3500
ペソ。乗船代金は1000ペソずつ。非常にお得で楽しいツアーとなりました。

7日目は前日と同じ楽しいガイドさんのチロエ島へのツアーに参加。行き先の
カストロに残りたいからと500ペソまけてもらい5500ペソ。古い時代の要塞や
教会、海のそばに立つ家などを見学し、夕方私たち3人だけ下車し、4500ペソ
で宿もみつかり、おしゃれなレストランでの食事と雰囲気を満喫。だいたいレス
トランできちんと食べると宿代より高くつくのですが。
8日目、先輩隊員が不在を知りつつもチロエ島最南端のケジョンまでバスで2時間
の旅。買い物やみやげ物屋の知恵の輪はずしとその習得に2時間くらい費やし
たりとノンビリすごし、夕方のバスでプエルトモンまで約6時間かけて戻りました。
翌日は旅の最終日。荷物をバス停にあずけ、ドイツ人が多く移住したフルティジ
ャールへ日帰りの旅。旅の最後に久しぶりの見事な青空と富士山そっくりのオソ
ルノ山と美しい湖が見られ大感動。町並みは可愛らしくドイツ風で風光明媚な
ところでした。夕暮れ時にプエルトモンに戻り、8時半発の夜行バスに乗りサンチ
アゴへと帰途についたのでした。

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