倉渕村就農スケッチ・「思い通り、思いの外」

和田 裕之、岡 佳子




 9月の中旬から始めた雑穀の収穫が10月の1日にようやく終わった。収穫できた雑穀はもち粟、もちきび、たかきび、アマランサスの4種類。榛名町の坂本さんとの共同栽培も今年で2年目となった。欲張って一反5畝(約450坪)以上も種を蒔いたから、収穫に予想以上に時間がかかった。週に1日か2日のペースだったが、9月下旬から雨が多く、台風と秋雨の合間を縫っての作業だった。今も天候が思わしくないので天日干しのもち粟はかびてくるのではないかと心配だ。今後十分に乾いたら脱穀、とうみにかけた後、精穀となる。雑穀は栽培に関してはそれほど難しくないが、手がかかる割に収量が少ない(というか軽い)ように思える。
 9月下旬から10月中旬、この時期、雑穀の収穫の他にチンゲンサイやみず菜など秋苗の植付け、じゃがいも、さつまいも、大和芋、さと芋、ヤーコンなどイモ類の収穫、稲の収穫など晴れ間にぜひしておきたい仕事がたくさんある。今年の秋は雨続きで仕事が思うようにはかどらない。
 今年の夏はずいぶん忙しかった。これだけ忙しければ秋以降少しは楽が出来るだろうと思ったが、思ったほど売上は上がっていなかった。何が忙しかったのだろう? と考えてみるとどうも草刈、草取りが例年以上、異常な仕事量だった。雑穀と同じく雑草は今年の暑さで異常に成長・繁茂、刈っても刈っても、トラクターでロータリーをかけてもどんどん伸びていった。恐るべき生命力・成長力だった。害虫も多く、カメムシと青虫の大発生で8月の育苗(チンゲンサイ、ターサイ、みず菜、みぶ菜、カリフラワー、キャベツ、白菜、他)は全滅。もちろん手をかけてやれなかったというのが1番の原因だが今思い返してもあの時は余裕がなかった。そして結果的にはずいぶん無駄な仕事をしていたことになる。
 思い通りに行かないのは農家の常だが、思いの外うまくいってしまうことだってある。雑穀の実りもそのひとつ。自家採取で発芽の悪かったたかきびは間引きもしないままいい具合に育った。アマランサスは手を抜いて間引かなかったが、これまたいい加減で自然淘汰されて実った。昨年、イノシシの被害にあったかぼちゃとじゃがいも。今年はイノシシがより好む大和芋と同じ畑にあったのにほとんど被害なし。春に小さなカケラを植えた大和芋は、秋に3歳の太緒の頭ほど大きな塊となって土の中から現れた。
 10月16日、今日稲刈りが終わった。最後の稲束をはざの竹にかけ終わり、皆で記念写真を撮った直後、稲束で重くなった竹が折れた。竹一本分やり直し。それでも予定以上に早く稲刈りは終わり御の字。思いの外お米が取れたかどうか。それは脱穀を終えてみるまではなんとも言えない量(重さ)でした。
2004年10月 和田裕之、岡佳子


copyright 1998-2004 nemohamo