はるの魂 丸目はるのSF論評


オルタード・カーボン
ALTERD CARBON

リチャード・モーガン
2002



(TW)久々に本格的なハードボイドドSF。ちょっと登場人物構成が複雑で、寝不足の頭にはついていけないところもあったが、肉体と精神についてもちょっと考えさせられる品。

 転送された先は、別の肉体、別の惑星。元特命外交部隊エンヴォイ・コーズのタケシ・コヴァッチは犯罪を犯し、静止状態にされている。そして、クライアントの必要に応じて、必要な場所にダウンロードされる。別の肉体、別の惑星。肉体(スリーブ)は強化され、使い勝手も良い。時には人造スリーブに入ることもあるが、元々の人生を持つスリーブの方がしっくりはくる。顔にも体型にも慣れるが、いまがいつで、どこで、何を求められているのか、それはブリーフィングを聞くまでは分からない。
 今回の仕事は、地球。地球で一人の男が殺された。その犯人をつかまえて欲しい。依頼者は被害者。正確に言えば、バックアップの肉体にダウンロードされた、バックアップの人格である。ただ、バックアップには、前のバックアップから殺されるまでの記憶はない。
 なぜ殺されたのか、なんのために、だれが。富豪である被害者/依頼者バンクロフトの依頼を断ることもできず、彼は、にわか私立探偵となって、人類発祥の地、地球での事件に巻き込まれていく。
 ハードボイドドだ。



(2013.4.25)




TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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