はるの魂 丸目はるのSF論評


ルナ・ゲートの彼方
TUNNEL IN THE SKY

ロバート・A・ハインライン
1955



気がつかずに再読、再メモしていた。面倒なので、そのまま掲載。前のはこちら。新装版が出ていたのだった。 ルナ・ゲートの彼方に ロバート・A・ハインライン
 第三次世界大戦は、人口増加の結果だった。それでも増え続ける人類。その窮地を救ったのは、一人の科学者。空間を超えて星へのゲートが開かれたのだ。人々は、ゲートを超えて星を渡り、通勤し、暮らしていた。無数の未開の星があり、開拓のための調査と踏破は繰り返されていた。
 ロッド・ウォーカー少年は、パトリック・ヘンリー・ハイスクールの学生。上級サバイバルコースの授業を受けていた。明日は、単独サバイバルの最終試験。個人、または、チームを組み、48時間から10日間以下の間、未開の惑星に送られ、そこで生き残りながら、帰りのゲートにたどり着くことが求められる。あらゆる惑星、あらゆる気候、あらゆる地形の可能性がある。ルールはなく、いかなる武器、装備を持参しても構わない。チームを組んでも、同じタイミングでゲートをくぐるわけではない。同じ場所にいることはできない。テストまでの猶予は24時間。試験の放棄は可能。
 外惑星の植民地行政学の学位を取るには欠かせないテスト。それは、探検家への限られた道でもある。
 教官に、家族に、軍人の姉に心配されながらも、ロッドはサバイバルテストに参加する。
 しかし、そのテストは、10日を過ぎても終わらなかった。
 ロッドと生き残った者たちの過酷なサバイバルがはじまる。

 ということで、ハインライン版「十五少年漂流記」です。
 ハインラインらしく、前半は身体追求型、後半は社会形成型の物語になる。そして、落ちが、落ちが、大落ちがああああ。
 そうだよなあ、現実なんてそんなもんだよなあ。
 ジュブナイルなのに、最後まで夢は見せてくれないのが、ハインラインだよなあ。
 でもって、アメリカだよなあ。

 アメリカ人って言うけれど、そういうときのアメリカ人って、イギリスから入植した人たちを漠然とイメージしてしまうんだよね。それは、小さい頃の昭和40年代とか、1970年代っていう時代のイメージ。支配層は今もそうだけれど、21世紀初頭の今は、ヒスパニック系、ドイツ系、アフリカ系、アイルランド系、イングランド系、そして、アメリカ人、メキシコ系、イタリア系、フランス系、ポーランド系、インディアン、ユダヤ系、スコットランド系…という感じで、様々な人種構成の国家になっている。
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 それはともかく、開拓期のアメリカって感じの「アメリカ」です。
 あ、おもしろいです。
 1950年代のジュブナイルだ! って言い聞かせながら読んでください。



2012.5.6




TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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