はるの魂 丸目はるのSF論評


デューンへの道 公家コリノ
DUNE HOUSE CORRINO

ブライアン・ハーバート、ケヴィン・J・アンダースン
2001



 本書「デューンへの道 公家コリノ」の紹介は2004年12月8日に終えている。10月に訳者の矢野徹氏が亡くなり、ちょうど読みそびれていた本書を手にとったので先行して書いたのである。5年ぶりに読み直して、やはり私のざる頭に自分で感動する。お得である。軽く忘れることができるというのはいいことだ。「ああ、そうそう、そんな感じの話だったよね」ぐらいは覚えているのだが、細かいストーリーや展開などはすっかり頭から抜け落ちている。だから、こういうメモを書くようになったのだが。
 さて、デューンへの道第1部「公家アトレイデ」と第2部「公家ハルコンネン」の間には12年の歳月があるが、「公家ハルコンネン」では、それなりの時間が流れるが、第3部「公家コリノ」は「公家ハルコンネン」が終わった直後にはじまり、ほぼ10カ月で幕を下ろす。それは、ジェシカがレトの子どもを身ごもり、ベネ・ゲゼリットの指令に反して娘ではなく息子を出産するまでの10カ月である。「砂の惑星」の主人公であるポウルが生まれるまでに、レトはロンバールを手助けして惑星イックスを解放し、皇帝シャッダムは恐怖政治を敷き、ハルコンネン男爵はあやうくアラキスを失いかけ、チャニが生まれ、イルーランが生まれたばかりのポウルとすれ違うのである。そして、レトは名声を上げ、シャッダムは正義の人レトを疎むようになる。そういう物語である。

 よし、「砂の惑星」を読むぞ。ええい、楽しみだなあ。前回「デューンへの道」を読んだ後に、「デューン」の再読はしていない。今回がはじめての再読になる。もちろん、「デューン」シリーズそのものは、主に前半の作品群を中心に何度となく読み返している。前回は、2001年の終わりか2002年のはじめ頃に通して読んでいるのだが、まだ「SF魂」でメモ書きを始めていなかった頃である。ということで、いよいろ「砂の惑星」、人生の転機に読むのにすぐれた作品なのだ。


(2009.07.01)

TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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