はるの魂 丸目はるのSF論評


がんばれチャーリー
STAR PRINCE CHARLIE

ポール・アンダースン&ゴードン・R・ディクスン
1975



 本書「がんばれチャーリー」は、ホーカシリーズの早川文庫SF3冊目の作品で、長編作品である。
 舞台は惑星ニュー・レムリア。人類に似た非科学技術レベルの知的生命体がいるため汎生物連盟によって地球人の全権大使がいる惑星。地球人の全権大使の指導の下、慎重に技術導入がはじめられていた。
 主人公は、チャーリー。地球人の少年であり、宇宙船船長の息子としてニュー・レムリアを訪れ、人生経験のためニュー・レムリアをひとり旅することとなった。もちろん、本当のひとり旅ではない。父親から離れた旅である。同行者は、ホーカ人で家庭教師の「バートラム」氏。厳格で理屈っぽく、蘊蓄に事欠かない「役」で安定しているホーカ人であり、父親の信頼も厚い。
 ニュー・レムリアの政情不安を理由に旅をしぶる全権大使を理屈でねじふせ、チャーリーとバートラムは意気揚々と未開の惑星の旅に出た。
 ところが、ニュー・レムリア人との出会いでバートラム氏はチャーリー王子の忠実なる家来、へクター・マクレガーになってしまった。ニュー・レムリアに伝わる伝説の星の王子こそ、我がチャーリーという訳である。
 未開惑星政治不介入の原則などそっちのけでチャーリー王子の旅がはじまってしまった。
 ねえ、僕たちどうなってしまうのだろうねえ。

 ということで、出てくるホーカ人はたったのひとり。ちょっと物足りないような気もするが、ホーカに育てられた地球人チャーリー君の素直な少年的行動を陰で支えつつ、一方でめちゃめちゃにするあたり、ひとりで十分という気もする。
 短編のホーカシリーズとはまた違った魅力満載の作品である。
 でも、まずは「地球人のお荷物」を読んで、ホーカのファンになってから読んだ方がしっくりくるよ。


(2008.03)




TEXT:丸目はる
monita@inawara.com
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