はるの魂 丸目はるのSF論評


銀河ヒッチハイク・ガイド

THE HITCHHIKER'S GUIDE TO THE GALAXY

ダグラス・アダムス
1979


 2005年公開の映画「銀河ヒッチハイクガイド」の原作。映画が出たため、河出文庫から新訳にて出版されたのを購入した。まず、まだ映画を見ていない。できれば見たいと思っている。同居人が「見たい! 読め!」と言ったので読んだ。そもそも、ラジオドラマの原作者によるノベライズという作品なので触手がのびなかったのだ。そういえば新潮文庫に「銀河ヒッチハイク・ガイド」という作品があったのは覚えている。残念ながら読んでいない。
 あまりSF人間ではない同居人がなぜ本書を読めと迫ったかといえば、同居人が本書「銀河ヒッチハイク・ガイド」ではある哺乳動物が出てくると聞きおよんだからである。同居人はその哺乳動物がことのほかお気に入りで、わが家ではその一族の一種が同居人とともに生息している。
 これを明かすとネタバレというか落ちバレになってしまうので、これ以上は書かない。
 いわゆるコメディSFにあたるもので、イギリスではかような作品といえば、テレビシリーズの「宇宙船レッド・ドワーフ」が思い当たる。NHKで吹き替え放送され、その後DVDとしても販売され、わが家でも購入したが、とにかく笑うための作品であり、英語で見ればより楽しめる作品となっている。残念ながら私はそれほど英語能力が高くないのだが、それでも英語版がおもしろい。もっとも、「レッド・ドワーフ」では、日本語吹き替え版もなかなかうまくできていて、どちらもしっかりと楽しめる。
 海外では、このように古典SFや先端科学、あるいは、時事や歴史的な事象をパロディ化したSFドラマがいくつか見受けられる。日本では、こういうSFドラマが少ない。かつてはNHK少年ドラマシリーズのようなSFドラマがあったが、パロディものは思いつかない。科学やSFが身近なものになっていない証拠だろう。一方で、アニメや漫画では宇宙やロボットあるいはバーチャルリアリティなどが頻繁に登場しており、決して素養がないわけではない。またアニメや漫画にはパロディSFもある。いずれ、こういう作品群が登場して欲しいものだ。

「銀河ヒッチハイク・ガイド」も、英語が分かったり、その文化的・社会的背景が分かっているとより楽しめる作品であり、この作品の魅力を日本語で訳するのはとても難しいことだったろう。今回の映画、それからテレビ版のDVDあたりはちょっと楽しみにしている。なぜなら映像的あるいはラジオドラマ的作品だからだ。
 さて、内容だが、話は簡単。地球は宇宙の道路工事の都合で壊され、たまたま地球に銀河ヒッチハイク・ガイドの現地調査に来ていた実は宇宙人の友人フォード・プリーフェクトによって助けられた地球人唯一の生き残りアーサー・デントのふたりが、次から次に訪れるめちゃくちゃな危機にパニくりながらもなんとか元気に走り回る物語である。なんのこっちゃと言われそうだが、銀河系の大統領や鬱の人工知性ロボットなど登場人物もめちゃくちゃなのでご安心。まずは映画を見て、楽しかったら本書を読もう!

(2005.11.29)





TEXT:丸目はる
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